【海外書籍】The New Cactus Lexicon ATLAS ストア & TEXT 1st edition (2006) 2冊組 サボテン図鑑 絶版 超入手難 古書 古本 マスターピース

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商品情報

・書籍名(英名) : The New Cactus Lexicon 1st edition・書籍名(和名) : ニュー・カクタス・レキシコン: ファースト・エディション・著者名 : David R Hunt, Nigel P Taylor, Graham Charles et al.・発行年:2006年・形式 : 洋書(英語)、B4判、899ページ、ハードカバー、2冊組
手元に1セットだけ余部があるので出品します。全体に使用感はありますが、17年前の書籍ですから、十分に綺麗な部類に入ると思います。ブックカバーに一部破れや傷、スレ、ヨレはあります。内部は書き込みや破れはありませんが、一部、使用によるページズレが生じています。Nigel P TaylorとGraham Charlesのサイン入り(写真参照)。
<書籍説明>2006年に発刊したサボテン図鑑で、ATLAS(図版書)とTEXT(解説書)の2冊組セットで発刊されました。サボテン科図鑑の決定版で、マスターピースともいえる書籍です。なお、本書以降サボテン科を網羅的に扱った図鑑は出版されていません。
本書は既存のサボテン科図鑑とは一線を画し、歴史的な一冊といえます。それまで大混乱をきたしていたサボテン分類学にサイエンスのメスを大胆に入れ、偏りなくフラットに全種のサボテン科を網羅しており、発刊から15年以上年を経過した現時点でも、最も信用できる標準的なサボテン分類体系と言えます。
そもそもは、サボテン分類の大家であったドイツ人の故C. Backeberg(クルト・バッケベルグ、カート・バッケバーグ)が1966年に発刊したサボテン図鑑のマスターピースとされたKakteen Lexicon(後の1972年の英語版Cactus Lexicon)の新版が1980年代中盤に企画されたらしいのですが、出版社が変わった関係で昔の図版写真が一切使えなくなり、1990年代後半に企画を断念したことから始まります。
これを受けて、英国王立キューガーデンのDavid Hunt(デヴィッド・ハント)が率いていたサボテン分類学の学会組織であったInternational Cactaceae Systematics Groupが2001年6月の会合で、新たな全サボテン科を網羅した図鑑を企画しました。このため本書の書籍名は「New Cactus Lexicon(新サボテン目録)」となった模様です。
ATLASパートでは2500種余りを網羅した図版が非常に素晴らしく、ここまでサボテン科の野外写真や標本クラスの株を網羅した図鑑は過去にないと断言できます。
TEXTパートはひたすら文字ですが、ある意味こちらの冊子の方が本書の本懐となります。2006年時点での分類体系を命名規約に則り記述し、各種の形態や生態の解説、シノニムリスト、IUCNレッドリスト評価まで掲載しており、無いのは検索表ぐらいとなります(流石に種数が多すぎて全種へのキーの収録は諦めたのでしょう)。後に出版された2013年の廉価版Illustrations(イラストレーションズ)では得られない文字情報の全てが、このパートに収録されています。
2013年には、一部の分類群のアップデート版となるNew Cactus Lexicon 2nd editionが用意され、先行して写真版としての小型版のIllustrations(イラストレーションズ)と改名されて発刊されました。その後に解説書となるテキストパートが発刊予定でしたが、道半ばの2019年にハント氏が逝去してしまい、未発刊のままとなっています。
また、本書はハント氏の個人出版(dh Books)として発刊されている関係で、当初から発行部数が少なく、上記の通り逝去してしまった関係で、今後も増刷される予定がない絶版本となります。このため惜しいことに、ここまで素晴らしい書籍なのに、現在は海外でも相当入手難な超レア本となってしまいました。
本セットは、とある英国のサボテン・多肉の趣味家さんがハオルシアに集中するそうで、一括で手放した書籍群の一角となります。こういう機会でも無いと、なかなか見つかる書籍では無いので値は張りますが、探している方も結構いるのではないでしょうか?そう簡単に入手はできませんので、ご興味のある方はお勧めします。
<本書の特徴>①現時点で最も信頼出来る標準分類体系本書は、2006年時点での最新の分類学知見に基づき、第一著者のデヴィッド・ハント氏(英国キューガーデン所属)を中心に執筆されました。ハント氏が革新的だったのは、過去のサボテン図鑑類と異なり、一人で独善的に分類体系を決めなかった点です。多くのサボテン研究者が参加した学会組織International Cactaceae Systematics Groupによる会合と、その学術誌Cactaceae Systematics Initiatives(全20号)を発刊し、同時にサロンによる綿密な議論を繰り返し、最終的には同学会の編纂委員会による合議で決定したサボテン科の分類体系を採用しています。最終的には、民主的に多数決による決定を行いました。ここがイングリッシュ・ジェントルマンたるハント博士が人望を集め、本書を素晴らしい形で取りまとめられた由縁だと感じます。
なお、サボテン類は、一般的に砂漠等の乾燥地域に生育し、少数株の各個体群がコロニーとして孤立しやすいため、遺伝的な偏りが生じやすく個体変異や地域変異の出やすい傾向にあります。孤立個体群ごとに膨大な種名・亜種名・変種名が乱発され、また素人分類学者が多く関わってきたことから、命名規約を無視した無効名が膨大にあり、大きな混乱をきたしてきた歴史があります。
このような中で、ハント氏はサボテン科全体を系統立てて種を統合させ、分類単位を減らす体系を推し進めた統合分類学者として知られます。ハント博士の素晴らしい仕事の中には、過去の膨大な学名の整理があり、手掛けたシノニムリスト(同物異名目録)を見るに、半端ない労力と緻密さが見て取れます。
本書では、サボテン科全体に同じ相場観を持たせて、かなり大胆にスッキリと種を統合させ、種数はグッと減らされています。分類単位も、それまで多用されていた変種(var. )や品種(f. )を廃し、種(sp. )及び亜種(ssp. )に統一しています。この部分は園芸関係者や一部の分類学者からも不評を買いましたし、近年の遺伝子解析では、このような体系に反証するようなデータも示されつつあるので、個人的には、本書を基準としつつ、また細分化していく種群も多々あるだろうとは感じています。
②キュー・データベースやCITESとの連動分類学とは日進月歩で進むもので、近年では遺伝子解析のメスが入って、それまでの形態や分布からの古典分類学の概念が一部崩れつつあります。このため定期的なアップデートが必要なのですが、本書発刊以降の最新の分類学的アップデートについては、英国王立キュー・ガーデンのデータベースと連動して、反映され続けています(URL:
③膨大かつハイクオリティな写真とにかく写真のクオリティが極めて高く、130名にも及ぶ研究者やフィールドワーカー、趣味家等の協力により、掲載種の殆どを網羅した2500枚以上の膨大な素晴らしいカラー写真が掲載されています。しかも、図版には過去の図鑑との比較を考慮して、35mmフィルム写真を優先して使っているそうですから、その手間たるや半端ないと思います。各種データ付きの生育地での野外株の写真や親株クラスの栽培株写真、開花株の比率も高く、あまりのクオリティの高さに眺めているだけで楽しい書籍になります。おそらく、このクラスの写真図版は、しばらく編纂するのは難しいだろうと感じます。まさに、サボテン分類界を民主的にリードしてきたハント氏のなせた技かと感じます。
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